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講演会開催報告 [中小企業が生き残るための営業戦略]

常陽銀行つくばビルにおいて標記演題による講演会を開催しました。講師は株式会社システムプランニング 代表取締役の鈴木栄治氏です。講演会の前半は中小企業が抱える問題を、後半生き残るための営業戦略についてご講演されました。後半の一部ですが紹介いたします。

[中小企業が生き残るための営業戦略]          

 

企業に求められる4つの課題

今日的課題として、顧客視点のマーケティングが挙げられます。会社の売上を増やため、いかにして顧客満足を高めるか、どこに付加価値を付けるかを考える際、従来のプロダクトアウトやマーケットインの発想から、買ってくださる時点で、お客様の購買意欲を刺激するショッパーズインの考え方が重要されています。プロダクトアウトとは、商品開発や生産を行う上で、作り手の理論を優先させる方法のことです。「作り手がいいと思うものを作る」、「作ったものを売る」という考え方で大量生産が行われ、「良いものを作れば売れる」という時代が長く続きました。ところが市場の成熟化と技術の高度化によって供給過剰に陥り、作り手の都合で作られた商品やサービスは受け入れられなくなりました。そこで新たに「顧客が望むものを作る」、「売れるものだけを作り、提供する」といったマーケットインの考え方が生まれました。今はさらに進化して、お客様が購入を決定付けるときの心のポイントやツボにアプローチするショッパーズインのマーケティンクが重視されています。それが出来ているかいないかで、売上が左右される時代です。

二つ目はアウトソーシングです。ショッパーズインで、きめ細かな営業を展開しようとすると、マーケット規模はどうしても小さくなります。大きな投資をしてしまうと、投下資本の利益償還が困難になります。そこで注目される取組が企業連携と専門特化です。ウィン・ウィンの関係に立ち、自社の強みと相手の強みを有機的に結び付ける農商工連携が推進されているのはそうした理由からです。企業間連携は、新たな設備投資をしたのと同じ効果をもたらし、新たなビジネス展開をも可能にします。

三つ目は、デジタルとアナログの融合です。大量に処理する、スピードアップを図る上で、電子化の推進は不可欠です。そのためのIT情報マネージメント力を身に付けることと、人間本来のもつ人間力、すなわち気付き、想い、優しさをバランスよく取り込むことが重要です。

四つ目は、社員教育・人財育成です。社員教育の目指すところは社員の多能工と地頭力(じあたまりょく)人財を育てることです。地頭力とは、「問題解決に必要となる考え方のベースとなる能力のこと」といった意味です。あるITメーカーの話ですが、「我社の社員としては、地頭力をもった人間が必要だ」と考えて、採用試験で「富士山を動かしてください。どうすればよいでしょうか」という問題を出したそうです。要は、不可能を可能にするにはどうすればよいのかを考え抜く力があるかどうかを試したわけです。皆さんだったら何と答えますか。「国立公園の中なので、そんなことありえない」と書いて出すか、「そんなこと分からないです」と諦めてしまうか、それとも「あり得ない事だが、論理的に考えれば動かせるかもしれない」と思ってアイディアを出す、この3つのいずれかと思います。実際、会場でも三様の答案があったようです。一所懸命考えれば、ヒントは見つかります。例えば、富士山を現状分析すれば、火山灰、がれき、木、土石からなっていますので、ダイナマイトで爆破していけば富士山の山肌を崩せます。崩れた土砂をどこに移すか、そこまで土砂をどうやって運ぶかをといった事をこまめに考えていけば、富士山だって動かせます。物事を柔軟に考え、論理的に解決策を積み上げていく力が地頭力なのです。常識を基準にして「ありえない」と素通してしまうのではなく、物事を一端受け止め、深堀する力のある地頭力人間が今求められています。

経営者と社員に身に付けてほしい5つのワーク

経営者と社員は、営業改革を進める際に必要な5つのワーク、①ヘッドワーク(知識)、②フットワーク(行動)、③チームワーク(協働)、④ネットワーク(人脈)、⑤ハートワーク(心づかい)を身に付けてほしい。ヘッドヘーク(知識)とは、地頭力、知識を使うことです。スポーツ選手が同じことを繰り返し練習しているのは、眠っている力を引っ張り出すためです。知識も同じです。フットワークのワークとは、働くという意味です。現場に足を運び、現場の実態を良く把握しましよう。現場に行けば問題が見え、問題解決の知恵も湧いてきます。チームワークとは、働くという意味とアウトソーシングが含まれます。仕事を進める際には個人プレーも必要ですが、多くの場合、従業員一人ひとりの強み(力)を出し合って、チームワークで成果をあげることが重要です。ネットワーク(人脈)は、地域社会・業界内外の人脈です。ネットワークは網の目です。網の目が切れてしまっては魚が獲れません。大きな網ときめ細かい網(人脈)を築きましょう。最後のハートワークは、心遣い、気遣い、優しさ、親切心です。これまでほとんど使われてこなかったでしょうし、なじみのない言葉だと思います。しかしながら、どんな商売でも人に対する思いやりがなければ成功は覚束きません。

経営者が取り組む従業員のモチベーション対策

従業員のモチベーションアップ対策として次の5つを挙げました。最初に、「ボーナス支給時に社員と面談。個々の課題や目標の確認」。以下、「朝礼、会議で意思疎通を図る。経営者の考えや目標を徹底」、「7S行動を重点的に意識、実践させることで、環境整備を図る」、「自らの成功、失敗談や困難から逃げない意識を持たせる」、「競争力の源泉は社員の精神力、モチベーション高揚にある」です。

4番目の説明の中で、具体的な事例として講師が菓子バイヤーをしていた頃の話をされました。「1週間の売り出しイベントを実施するため、私はカナダからクッキーを、同僚のバイヤーはメープルシロップを大量に仕入れました。イベントが終わって商品の在庫を調べてみると、菓子は完売であったが、メープルシロップは、6割方残っていました。現場から「返品してよいのか」、「処分して良いのか」との問い合わせが来て、てんやわんやでした。挙句の果てに担当者は、売れ残った商品を処分する稟議書と始末書を書いて上司に持って行きました。上司から怒られている様子が見えます。しばらく怒っていた上司は、稟議書を持って決済者である商品本部長の所に行きました。10分ぐらい経って上司が戻ってきて、「決済をもらったぞ」と言いながら稟議書を同僚に渡しました。そのときです。同僚が稟議書を見るなり真っ赤になって涙を流しはじめました。思わず「どうしたんだ」と近寄って尋ねると、稟議書の決裁印の脇に「これにめげずに頑張れ!」の添え書きがありました。失敗を責めることなく、この失敗をこれからの仕事に生かせよ、というメッセージに感激したのでした。仕入部全員のモチベーションがあがったのは申し上げるまでもないでしょう。同僚は責任を取って、会社を辞めることまで考えていましたので、感極まって涙が出たということでした。この添え書きによって同僚は元気を取り戻し、以後、困難から逃げない強い意識を持った素晴らしいバイヤーとなって育っていきました。」ということで、経営者や上司が発する言葉の重みを改めて実感しました。その他、「ワンマン経営者の6つの落とし穴」、「良好なセルフマインドを保つには」なとの解説があり、経営者の視点に立ったお話ばかりで受講者から「、とてもいい話が聞けた」、「アウトソーシングについて考えていきた」いといった声が寄せられました。

 

 

 

 

 

2012年6月27日株式会社システムプランニング
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